〈観劇日誌〉あやめ十八番「三英花 煙夕空」 感想
あやめ十八番
「三英花 煙夕空」
【あらすじ】
骨董商・尼子鬼平は眼が見えぬ。故に、彼は惑わない。
贋作家たちの緻密な細工も、精巧な色遣いも、尼子は見ようとしなかった。
“真贋は釉薬の下に潜んでいる。”
若い尼子は既に、骨董の真理に迫っていた。
或る夜、尼子の師・織部雨左衛門が自室で殺害される。
容疑をかけられたのは、雨左衛門の妻・やゑ。妻は、犯行を認めている。
尼子は、やゑを見ようとしなかった。
一人、釉薬の下に隠された真贋を見極めようとしている。
黄昏時、尼子は事件の目撃者たちを集め、話を聞くことにした。
証言台に上ったのは、日本刀、壺、幽霊絵。
【出演】
金子侑加(あやめ十八番)
村上誠基
小口ふみか
島田大翼(オペラシアターこんにゃく座)
《音楽》
吉田能(花掘レ)
古民家を改造したアトリエにて。
舞台を三方から囲み、どの席も最前列。
とくれば必然少ない席数の中で間近で素晴らしいお芝居を観劇できた。
殺人のあった屋敷の倉
謎を解き明かさんとする盲目の骨董商と物語る三種の骨董品たち。
おなじみの吉田能さんの生演奏(作品毎に雰囲気に合う音、楽器をしっかり持ってきて本当に驚かされます)とアトリエが合間ってこの舞台空間がまず凄かった。
観客も闇の中からまさに今起こっている一大事件を覗き見ているような真実感。
お話の面白さは言わずもがな俳優個々人の担う役割とその体現率、密度の濃さも圧巻。
お涙頂戴な舞台では決してないのに、俳優から受け取れるリアリティーと苦悩葛藤にふいに涙腺を鋭く突き刺されました。
なんだか自分の感受性を新しく拓かれたような感覚。
大阪公演も大好評で終演したようですが、あちら限定で出演をしていた主宰の堀越涼さんバージョンも観たかった。
東京から追いかけていった方が結構いらっしゃったようですが、納得です。
再演を待つ。
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